本の紹介です。
「介護タブー集」三好春樹さんの著書です。
![]() | 価格:1,430円 |

「介護」というといろいろイメージが出来上がっていたりします。
カイゴのゴカイについて、わかりやすく説明してあります。
食事・排泄・入浴が介護の基本となりますので、介護の仕事をされている方は勉強になると思います。普段の仕事の中で、間違ったことをしていることも多々あるかもしれません。
年齢を重ねてくると、身体が不自由になり、認知症の影響で生活のしずらさがでてくることがあります。今まで当たり前にできていたことが、できなくなる。わからなくなる。高齢者の方は悩んでいると思います。
私たち介護をする側は、食事・排泄・入浴などに関して当たり前にできていて、深く考える機会がないかもしれません。生活の中であまり意識していません。
もし、おいしいものが食べれない。トイレに行きたくてもいけない。毎日お風呂に入れなとすれば…ストレスになると思います。
介護は特別なことではありません。普段当たり前にしていることを支えるという視点が大切だと感じます。
立ち上がりの基本。
介護の中で、立ち上がるという場面は非常に多くあります。車いすを使用している人でも、椅子から車いす。車いすからベッド。トイレの時など。立ち上がるという動作があります。
大切なのは、人が立ち上がるときにどんな動作をするのか理解することです。一度椅子から立ち上がってみてください。
脚を引いて、身体を前に倒す、頭が前にでると自然とお尻が浮いてきて、立ち上がることができます。この動きを意識して声掛けをしてみてください。
たまに足を伸ばしたまま立ち上がろうとされる方もいますが、立ち上がることができません。そして介護者が無理な介助をする。これではお互いに負担がかかるだでになります。
また、手すりが上の方にあると立ち上がれそうな感じもしますが、腕の力のみになってしまい、逆に難しくなります。床から50~60センチぐらいの位置に手すりがあると、身体を前傾姿勢にすることができ容易に立つことができます。
これを意識するだけで、介助がすごく楽になりますので実践してみてください。
問題行動は薬で抑えるしかない?
高齢者の問題行動がでると、脳に原因があるからすぐに薬に頼るのはあまりよくないでしょう。医療的な視点からみれば、精神薬や気持ちが落ちつく薬を処方すると思います。
では、介護の視点から考えてみてください。問題行動の原因は生活の変化が大きく関わっています。
筆者によると、
便秘、脱水、発熱、持病の悪化、薬の副作用、季節の変わり目など。
私も、仕事をしていて実感しています。しかし、これを知っているかどうかがポイントです。問題行動が出たので、医療職に相談、そして受診にというのもすこし早い気がします。
あかちゃんが不快を感じると泣きなますよね。認知症が原因で、自分の不快をうまく伝えることができないなど。そんなときは、問題行動という形で訴えておられるのかもしれませんね。
特に便秘は問題行動と大きく関わっています。長く便秘が続いている人は、いつもより不眠だったり、なにかそわそわ、歩き回るなど。いつもと違うなと感じます。
また、新しく施設に入所した人は便秘になりやすいですし、環境の変化に戸惑っています。介護職は排便コントロールができているのか注意深く見ていく必要があります。
私たちも、旅行にいくと便秘になったりしません?やはり環境の変化は人に大きな影響をあたえるようです。
食事ケアの誤解。
食事は人間にとって大切なことです。私も食べることが大好きですし、ご高齢の方も食べる楽しみが必要と思います。
今回は食べる姿勢についてフォーカスしてみます。
介護現場で注意しなければならないのは、誤嚥です。
正しい飲み込みのためには、①食べ物も大きさが適切。②食べ物の湿り気が適切。③嚥下反射の準備が整っている。の3条件が必要です。(本書より抜粋)
そして姿勢です。
椅子に座り、しっかりとかかとを付けて、すこし前かがみの姿勢が誤嚥を防げる姿勢となります。そのためにも、その人にあった椅子を準備すること大切です。市販の椅子だと少し座面が高すぎることがあります。
ベッド上での食事はギャッチアップしないといけません。直角まで上げることが難しいですし、上向きの姿勢となってしまいますので、できれば椅子に移乗することがいいでしょう。
排泄ケアの誤解。
排泄ケアは私も本当に難しなと感じます。しかし、問題行動に便秘が関係をしていることを知ってからは、快適に排便をしてもらうことが大切だと感じました。
老人の便秘は直腸性便秘です。水分は直腸まで届かず繊維刺激では動きません。骨盤の奥なのでマッサージも効きません。直腸性便秘の別名は習慣性便秘です。便秘の原因である生活習慣そのものは変えればいいのです。(本書より抜粋)
便秘が続くと、薬に頼りがちです。緊急性がある場合には必要ですが、それまでに気づいていないとなると私たち介護職の怠慢と考えてもいいかもしれません。排便関係の薬が処方され、排便があったかどうかを確認するのが私たちの仕事ではありません。
自然排便の条件として、座位をとる。時を逃さないことです。
便座に座り、しっかりと腹圧をかけることです。寝たきりの状態ではお腹に力が入りずらいです。
また、便意を感じたらすぐにトイレに行くということです。比較的、朝食後に排便がある人が多いと感じます。自分でトイレの訴えができない人もおられますので、その人の排便パターンを把握して誘導するのも必要です。
入浴ケアの誤解。
最後は入浴ケアについてです。
老人を大切にするとは老人の生活習慣を大事にすることだ。それまでの普通の入浴を継続するための工夫こそが入浴介護なのだ。(本書より抜粋)
納得です。もう10年以上前にヘルパー2級(当時はそういう名称)の資格実習の時のことを思い出しました。機械浴の使い方をすごく勉強しました。
ご高齢の方が、機械浴に入りたいでしょうか。私も特養で機械浴の経験もありますが、入浴からかけ離れているように感じます。
規模の大きい施設だと、機械浴や大浴場を押しているところもありますが、あまりよいと思いません。家庭的な個浴(和式の浴槽)と浴槽と同じ高さの台があれば、車いすの人でも入浴は可能です。今ある環境で快適な入浴ができるように、職員がスキルを磨くべきです。
まとめ。
排泄、食事、入浴について大切なポイントをまとめてみました。基本的なことを押さえるのは仕事として必要なことです。さらに、相手の気持ちになって考えること。高齢者の今までの生活習慣に近づけることがよい介護の近道です。
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